RANDONNEUR PLUS PROJECT

nomu’s VIEW 日本縦断と機材と

お久しぶりです。メカニックとして参加している野村です。
今回は10月の日本縦断で使用した機材の中でも、バイクの根幹をなすフレームを中心にご紹介したいと思います。
(その他の機材については、私の職場BECKONのブログでも紹介しておりますのでぜひご覧ください。http://www.beckon.jp/20211101/41131/

 

ロードバイクにおいてカーボン製のフレームが主流になってから、メーカーが研究開発を重ねた結果、フレームはより軽く、より快適に、より空気抵抗を少なくなり、数秒の差を競うためにその見た目、機能は大きく進化しました。

2,600kmというウルトラロングディスタンスにおいても、そのわずかな違いは無視できません。さて、そこで今回ライダー落合が使用したバイクをご覧ください。

 

縦断へ向けて機材のチェックを終えた後のメインバイク。フレームは滋賀県に工房を構えるmacchi cyclesによるオーダーメイドフレーム。

 

ラグで接続したパイプで構成されたフレームに、メカニカル変速のアルテグラをアッセンブルした、オーソドックスなリムブレーキ仕様のロードバイクです。ディスクブレーキが隆盛を極める昨今になっては、クラシックな機材という印象を持つ方もいるかもしれません。

 

今回のチャレンジにあたっては僅差を競うような状況は想定してはいませんでした。むしろ、チャレンジの内容の性格上、タイムトライアルではあるのですが、クローズドコースで行われるものではなく、一般公道で法令を遵守したうえで一定の休憩を取りながら走行しなければいけません。ライダーの体調や心理状態、天候や気温などの内的なものから外的なものまで、様々な要因がどれだけ変化しようとも、一定のリズムを保って違和感なく走る事が大切だったのではないでしょうか?

 

最新のスペックを搭載した機材のポテンシャルの高さはもちろん魅力的ではあります。一方で、毎日のように、天候に関わらず50km、累積標高で1,000mを超えるルートで通勤をしているライダー落合。そして、ブルべやトレーニングとして行うロングライドで自転車は日々酷使されています。この環境下においては、シンプルで頑丈である事、良い状態が維持し易く、身体に良く馴染む機材の優位性が見えてきそうです。

 

トップチューブとダウンチューブにはグラファイトデザインのカーボンパイプが採用されています。

 

フレームはクロモリとカーボンのハイブリッドタイプで、独特の”しなやかさ”を残しつつ、鉄製フレームにおける重量面でのデメリットを少なくしています。オーダーフレームの強みは、フレームの寸法を自分好みに選べるという事です。最新の機材の場合では、開発研究から導き出されたフレーム形状に、ライダーが合わせなければいけないという状況が少なくありません。ライダーを主役に捉えた、走り方に合わせたオーダーフレーム、用途にぴったりの相棒を求めている方には良い選択肢になりそうですね!

 

続いてコンポーネントについては、電動シフトではなくメカニカルシフトを、セカンドグレードのアルテグラを選択しています。予算があればハイエンドを検討したいところですが…(-_-;)
仮にですが、限られた予算でハイエンドのパーツを1つ用意するよりも、用途に合ったミドルグレードの機材を2つ用意した方が、良いコンディションで走り続けるために向いているのではないか?と機材に日々触れる立場として私は考えます。

 

電動シフトについては、変速の動作が軽くなる事により負担が軽くなるのと、それによる変速の機会が増え、状況に合わせて、より最適なギア比を選択する事ができるでしょう。一方で、転倒などによる想定外の故障を除けばトラブルは殆どありませんが、目に見えない状態で不意にやって来る可能性があります。ある一定の状況下ではシンプルな構造故の”力づく”での修理が可能なメカニカルシフトの利便性が意味を持つかもしれません。予算があればシマノDi2を予備パーツを含めて2セット準備できれば良いのですが(笑)

 

という具合に台所事情による制約?が多いパーツ類ですが、RAAMへのチャレンジが始まった当初からこだわって取り組み続けている事があります。洗浄とチェーンのマメな交換です。チェーンとチェーンリングは消耗具合を常にチェックし、定期的に交換しています。

 

ライダー落合による自宅での洗浄

 

チャレンジをスポンサード頂いているワコーズのケミカルによる洗浄は、日々ライダー落合が自ら行っています。自身の体の状態と同様に、機材の状態を自ら把握しておく事は、アマチュアのロングライダーにとっては必須でしょう。もっとも、作業が得意というわけではないようで、定期的に私が消耗品の状態、各部の点検を行うことで、パーツの交換サイクルやオーバーホールのタイミングなどを管理しています。

 

日本縦断中のメンテナンスの様子。中間地点を過ぎたところでチェーンを新品へ交換。ちなみにチェーンは105グレードです。

 

どんな高級パーツであっても、手入れがされた良い状態でないとそのポテンシャルは発揮できません。皆さんも一度ご自身のバイクの疲れ具合を全体的にチェックしてみてください。

 

次回は機材から離れて、ライダーの走り方、縦断中における様子をお伝えしたいと思います。