RAAM直前 RAW振り返り 6日目 砂漠は暑くて寒いので停車せず
ライダーの落合です。
昨年6月に参戦したRAW、Race Across the Westのブログが完成しました!
何と10回分にもなってしまいました。
公開していきますので、よろしければご覧ください。
このタイミングでクラウドファンディングもしていますので、こちらもよろしければお願いします!
YouTubeもあります。
RAWについてはファンライド、Beyond magazine、オージーケーカブトのnoteでも投稿しています。
こちらでも振り返ります。
ファンライド:
落合佑介レポート/砂漠の1,500kmタイムトライアルレースRAW~最高の結果と見えてきた壁~(前編)
落合佑介レポート/砂漠の1,500kmタイムトライアルレースRAW~最高の結果と見えてきた壁~(中編)
落合佑介レポート/砂漠の1,500kmタイムトライアルレースRAW~最高の結果と見えてきた壁~(後編)
Beyond magazine:
砂漠の1,500㎞自転車レースを走った日本人。その先に見据えるものとは?【前編】
砂漠の1,500㎞自転車レースを走った日本人。その先に見据えるものとは?【後編】
オージーケーカブト:
ギネス記録の超ロングライダー・落合佑介さん(第1回)「アメリカ大陸1500㎞レースへの挑戦」
ギネス記録の超ロングライダー・落合佑介さん(第2回)「アメリカ西海岸1500㎞レースへの挑戦」~長距離を走る準備とは~
ギネス記録の超ロングライダー・落合佑介さん(第3回)「アメリカ西海岸1500㎞レースへの挑戦」~走行編(前編)~
ギネス記録の超ロングライダー・落合佑介さん(第4回)「アメリカ西海岸1500㎞レースへの挑戦」~走行編(後編)~(最終回)
6日目
一夜目は何も起こらない。
黙々と平坦な道を走り続ける。
(実は1%以下ずつのぼっているのだが気付いていない。)
1つ前の2位の選手とは20㎞程離されていたので視界に入ることもない。
後ろを見ると、ダイレクトフォロー中のサポートカーのライトしか目に入らない。
眩しくて、振り返りたくない。
DJ風にスピーカーから発せられる放送では、3位集団の先頭を走っていて、私を先頭に一定の距離を空けて、一列に連なっているとのことであった。
4位Joe barr選手はおそらく私のサポートカーの姿を捉えているのだろう。
Joe選手もまたウルトラロング界では有名な選手で、各国のロングレースで優勝している経歴の持ち主だった。
TS3ブライスではおよそ5㎞以内に付けられていた。
その距離が詰められてきたのが夜明け頃、TS4のパーカーに入る前だった。
速度で上回るJoe選手は、いつの間にか後ろに付き、ゆっくり抜いていった。
地図では真っ直ぐに表されている道だが、少しずつ曲がりくねっている。
標高差で表すと1%以下の上りが続く区間なのだが、ほんの少しずつアップダウンを繰り返しているので安定した速度が出しにくい。
コンボイが行き交う中、Joe選手が見え隠れしていたが、徐々に離されていく。
と思いきや、また追いつき、お互い接戦を繰り広げた。
私はこの接戦を余裕もって走っいたものの、力んでいるのではないかと思ったため、一旦距離を開けた。
そしてTS5のサロームの町では、Joe選手が30分程休憩したことで、接戦に決着がついた。
Joe選手はTS毎に休憩する作戦を取っているようだった。
巡航速度では少しだけ速く走るJoe選手との差は、TS毎に離れていった。
またその時点で、2位を走るファビオ選手とは60㎞もの差が付いており、話題にもならなかった。
アギーラの町を抜け、左折。
しばらく走ると車が渋滞していた。
事前にディスコードで情報が流れていた。
工事区間のためライダーはサポートカーに乗り、シャトルされることになった。
すぐに車に乗り込むも、直ぐには進まない。
後続を離したのに追いつかれるなー、と少し焦りを感じていた。
しかし、サポートカーは快適だ。
もちろん、私のためにキンキンに冷やしてくれていたのだと思うが、快適過ぎて外に出たくなくなる。
TS6コングレスを過ぎると、登坂区間に入る(常に1%以下の上りは続いていたが)。
登坂区間はmacchiからDE ROSAに乗り換えるため、そのタイミングを探しながら走っていた。
左折する予定の十字路の右前にガソリンスタンドが見えた。
クルーからガソリンスタンドで、給油と乗り換えをすると連絡が入った。
私は、そのガソリンスタンドまでのわずかな距離、交換までの時間を嫌い、回避して先を急いだ。
その直後、視界が開けて山々が見えてきた。
失敗したと思ったが、サポートカーは直ぐに追いついてくれた。
TS4から160kmかけてダラダラと登っておりやっと標高900mに達した。
ここからは2,150mまで登るのだが、3段階に分かれている。
まずは約10㎞、平均勾配5,2%のヤーネル峠だ。
KOM区間に指定されていて、表彰対象区間なのだが、興味は無し。
速度は出さないで楽しんでのぼる。
とても暑くて大変なのだが、標高は1,000mを超えているため、標高0mの砂漠を走っているときよりはマッシに感じる。
ただし、日本のような木陰やトンネルがあるわけではないので、常に陽に照らされている。
あぁ、また水分が失われているように感じる…
2つ目ののぼりも終わり、TS7プレスコットの町に到着。
サポートカーは夜のダイレクトフォローに向けて給油のために先行した。
給油しているサポートカーを見つけ、何か言っているなーと見ながら走っていると、大声に変わった。
一瞬何が起こったのかわからなかったが、コースアウトをしたのだった。
やってしまった…と少し焦る。
ルールでは、コースアウトはサポートカーに乗って戻らないといけないのだった。
給油中のサポートカー。車通りの多い町中。
大幅なロスタイムを覚悟しなければならなかった。
”歩いて戻ればよい”
アクシデントが起こると慌てて飛んでしまうが、自転車に乗らずに、歩いてコース復帰すればよかったのだ。
距離にして3,40m程度だったので、歩いてコースに戻った。
しかし、信号のタイミングが悪く、10分は損をしてしまった。
3つ目の峠をのぼると午後7時を過ぎた。
夕方になるがまだまだ明るい。
今度はジェロームという町をくだる。
道は狭いが、下界の景色が見渡せて、すごくきれいだ。
どんどん加速していくので明るいうちに下れて良かった。
TS8キャンプヴェルデを目指してキャンプ・ヴェルデ=ブリッジポート・ハイウェイをくだるが、道にはいろいろな破片や物が落ちており、危ない。
ハイウェイが下りのため、車のスピードも時速100㎞/hは超えている。
日本の高速道路よりは広いので安全だが、気を抜くとアクシデントが起こりそうだ。
間違えて側道に出てしまうが、右左折の道とハイウェイに戻る道しかない。
「落合さんランプでちゃったけど、直進してまた高速道路みたいな道を直進してください。」
とLEOMOを通じて連絡が入る。
どれだけ正確にウォッチされているのか。
サポートカーもいない場所だったので、遠隔ナビは助かった。
午後9時前、TS8キャンプヴェルデを過ぎると向かい風に合い、速度を失う。
直ぐにジェネラルクルークの山岳に突入したため、風は感じられなくなった。
標高950mから7㎞で1757mまでのぼり、アップダウンを繰り返しながら30㎞、2150mまでのぼるのだ。
直ぐに日が暮れ、見えるのはサポートカーのヘッドライトで照らされた道と満月の月の光だけだ。
満月に向かって走る。
標高も高く、月が近くに見える。
夜の峠は寒い。
砂漠に適応するために着用していたウェアでそのまま走っていたが、くだると冷える。
着替える時間がもったいないので、着替えなかったが、寒さに耐えれなかった。
ウインドブレーカーと、レッグウォーマーを追加した。
本当であれば、ディスコードで流れていた10㎞先のシャトル地点まで耐えたかった。
つづく